東北大学の学内活動をビジネスに結び付ける支援事業拡大に伴い、青葉山キャンパス内に新たに計画された起業家育成拠点の企画内装設計プロジェクト。
学生、教職員、企業支援関係者が利用でき、交流・情報交換の場となることが求められたが、建物の4階という立地上、ふらっとは立ち寄り難いこの場所で、物理的な場をつくることの価値をどう最大化されるかが課題であった。
オンライン/同期が当たり前となった今、敢えて「オフライン/非同期」のコミュニケーションの機能を核に施設をつくることで、場をつくる意味、集まる意味を考える場としたいと思った。そのためのツールとして「本」に着目し、本を「読む」→「使う」という考え方に拡張することで、本を使ったコミュニティ創出を狙った。
本棚はテーマ毎にキュレーションされ、その場に訪れた人だけが本と出会えるようになってお(オフライン)、それらの本に挟まれている栞には、なぜこの本がこのテーマに置かれているのかの解説が書かれている(非同期)。
また、本棚に設置された書き込める透明ボードや発明に繋がった「失敗」をモチーフにしたブックエンドなど、アイデアのきっかけが随所に散りばめられている。
この施設内には、フリーデスクのオープンスペース、半個室の集中ブース、オンライン会議用のフォンブース、ライブラリーを設置しているが、その空間の間仕切りは全て格子状の本棚で構成している。環境としての本棚があることで、本とのセレンディピティ(素敵な偶然)を創出し、インスピレーションを誘発するようにした。
また本で溢れた壁はひと目で「青葉山ガレージ」を連想するアイコンにもなる。
この場所を起点に、利用者のメモがアイデアのきっかけとなり、発信していく際の拠り所となる場となり、カルチャーが醸成されていくことを期待している。
■チーム
企画設計 PEAKSTUDIO + to-ripple
企画 三浦宗晃
設備設計 NoMaDoS
ブックディレクション/コンセプト協力 有地和毅(文喫 六本木)
サイン/グラフィックデザイン MARUYAMA DESIGN