秋葉原の新たな文化を創出する物販店舗プロジェクト。
秋葉原は、家電製品や電子機器、さらにはアニメ、ゲーム関連のフィギュアやコスプレグッズなどの店舗が集まる「オタクの聖地」と呼ばれる。施主は秋葉原で長年過ごし、秋葉原の「オタク文化」がこの街の未来への原動力となるような、新しい場所を求めた。
「アキバ感電デンキ」は1990年代のゲームや漫画作品をモチーフにしたオリジナルアイテムやアパレル、一般雑貨を取り扱う物販店舗である。
90年代の世界観をより具体的に体現するため、「サイバーパンク」な空間を構成することを考えた。アキバの魅惑的な都市を参照した店舗を作るため、「光」「反射」「即物性」をキーワードに内装を構成した。色鮮やかなネオンライトによる妖艶な光とそれを反射する即物的な金属(波板鋼板、角スタッド)や無機質なタイルを配置することで体現した。
また妖艶なネオンのなかに「植物」「コラージュ」「グリッド」の要素を取り込むことで、2010年代初頭のweb上のネットカルチャーに代表される”ヴェイパーウェイヴ”と言われるビジュアルイメージに近づけるようにした。
高度情報化社会の現代においてインターネット上で大量消費され、忘れ去られていた独自のカルチャーを、物販店舗として実装していくことで、ノスタルジーを感じる未来感を演出した新たな文化の拠点になってくれればと思う。コロナの影響でインバウンド向けの店舗が淘汰される中、再度アキバに目をむけ、地域に密着した個性を出すことで秋葉原を盛り上げていけたらと考えている。
担当:toc, kob
植栽アート:edalab.
掲載:商店建築2021年10月号