日本の景気の減衰とともに地方の宴会場の需要は年々減少していたなか、2019年からのCOVID-19が流行し、宴会需要はほぼなくなった。
そこで、オーナーは宴会場を客室としてリノベーションできないかと考えた
旅館の宴会場を客室に、客室をレストランにリノベーションするプロジェクト。
[客室]
宴会場であったことから天井は高く、低層階にあるため眼下には春来川を臨む。それらの条件から、圧倒的な開放感を実現するため、床のレベルを外に向かって徐々に高くすることで視線を自然と上に向け、空を眺められるよう誘導することにした。奥に進むとサッシは当然低くなり、それが春来川を見下ろす視線になり新たな感覚を得られる。高低差を生かし、開放性と河床感を演出した。
家具はソファと小上がりを同じ高さにすることで、和の寛ぎと洋の快適性を地続きで両立した。 客室には源泉を引き込み、存分に外を感じられるビューバスとした。
9年前のリブランディングの際にホテル名の変更を行い、今回の改修では客室を「かわみ」とした。
かわみ:隣を流れる春来川を臨む、川床のような空間を提案していたので川を見る場所として「かわみ」。
また「川+水」でどちらも水をイメージさせることで浴室に特徴があることを暗に意味するように名付けました。
ゆあむ:9年前のリブランディングの際にこの地域の豊岡杞柳細工(杞柳を編み込んだかご細工)をモチーフとしており、そこからの「編む」と有名な湯治場であったこの地域の「湯浴み」を掛け合わせ「ゆあむ」と名付けました。
本案件はグループ補助金を活用した計画であり、そのサポートもさせていただきました。
■設計
担当 杤尾直也 長澤若奈(元所員)
サイン/LOGO HYPHEN 原健三
アートワーク michiko
■掲載
BAMBOO MEDIA
architecturephoto
TECTURE(客室)
TECTUER(レストラン)
■受賞
2023 2023 SKY Design Award short list 2023 A’ Design Award & Competition SILVER winner
2023 空間デザイン賞 入選 2024 if design award
客室A
寝室とリビングを分けられるタイプの客室。
ソファの快適性と畳の居心地の良さを両立させた部屋。
■客室C
シンメトリーと木質空間にこだわった部屋。
開口部は全て浴室とし、客室に温泉がついた部屋のようにデザインした。
■客室B
コンパクトでありながら開口感がある部屋を目指した。
高い天井高を木の壁と屋根で包み込むようにデザインした。